課題をやり切ったときの清々しさを経験して



  • 澤田:この油彩画(牛骨の静物画)は「平面基礎B」かな。絵画の先生から、とてもこだわって熱心に制作している姿が目立っていたと聞きました。油彩は初めて?



  • 丸田:はい。その前に「平面基礎A」でアクリル画(りんごとTシャツ)があったんですけど、提出期限を勘違いしていたことがあって。あと一週間しかないのに、りんごしか描けていなかったんです。



  • 澤田:えっ、それどうしたの?



  • 丸田:朝、学校が開くと同時に来て夜21時までやるっていうのを、一週間続けて完成させました。「やり切った!」っていう気持ちと同時に、頑張ることの美しさや清々しさを初めて感じて。頑張れば完成度もここまで上げられるんだっていうのもわかりました。だから、油絵は初めてでしたけど、どうせならアクリル画でやれたみたいに、自分の使える時間を可能な限り使ってやりたいっていう、向上心があった状態で進めました。



  • 澤田:素晴らしい!この描き方は、ある程度訓練しないとできない表現じゃないかな。



  • 丸田:絵画の先生には、筆や絵の具の種類、画材に合った使用法まで、何度も質問しました。自分でも納得のいく作品に仕上がったと思います。



  • 澤田:1年生のときから、課題に対して真摯に向き合うタイプでしたね。これまでに美術やデザインの経験は?



  • 丸田:特にないんですけど、絵を描くのは得意なほうでした。



  • 澤田:提出された課題画像のアーカイブで1年次の基礎授業(立体基礎A )の作品を見てみたんだけど、取り立ててめちゃめちゃ良いってわけではなかったんだよね。でもやっぱり、ちゃんと課題に向き合ってきたから、それがいい方向に表れているんじゃないかな。見ていて、どんどん実力が上がってきたなって気がしますよ。自分でも実感してる?



  • 丸田:嬉しいです。同時進行でいろいろな授業の課題があるじゃないですか。自分が納得いくかたちに近づけるには、どういったスケジュールでこなしていくべきなのか、それは考えるようになりました。ひとつの課題に向き合う時間が増えて、同時に計画性も身についたと思います。



  • 澤田:とことん自分のテーマを追求するっていうところは、クリエイターとしての素質があると思います。1・2年次の基礎授業は、デザイナーの持っている“追求する気持ち”を、自分でどう維持できるかってことを学んでもらうという目的もあるんです。まずはそういう気持ちになれる制作をして、楽しい!こだわりたい!って気持ちをつくるのが1・2年次。我々がやっている基礎授業の責務は、そこにあるんですよ。



  • 丸田:そうだったんですね。



  • 澤田:知らなかったでしょ(笑)。




  • 『牛骨の静物画』は、週2で世界堂(新宿に本店がある画 材・文具販売店)に通い、必要な画材を自分で吟味して買い集めた

  •   

    つくるための悩みがある人はまだまだ伸びる



  • 丸田:いまやっている制作系の課題は「立体基礎C」と「ハードマテリアル」、「平面基礎C」です。平面は油彩なんですけど、今度は人物画ですね。あと、「プリントデザイン実習」という授業でリピートデザインをやっています。



  • 澤田:立体は僕の授業。テラコッタ粘土で、これから焼くんだよね、羊。



  • 丸田:立体は苦手なんですけど、やってみないとわからないこともあるから、できる限りを尽くそうと思っています。



  • 澤田:3年次からはグラフィック・プロダクトデザインコースに?



  • 丸田:はい。入学するとき、グラフィックデザインもプロダクトデザインもやりたいっていうのがあったので。



  • 澤田:両方できるっていうのがBUNKAのすごいところだよね。一般的にほかの美術大学だとどっちかだから。



  • 丸田:そうですよね。卒業後は、グラフィックかプロダクトのデザイナーになって、さらに自分の作品づくりも続けられたらいいな、と考えています。



  • 澤田:課題が多くて、日々やることに追われるでしょう、どうしても。



  • 丸田:はい。



  • 澤田:そういう中でも、ひとつの課題テーマに対して考える時間を大事にしてほしいと思います。自分の作品を客観的に見るんです。いまつくっている羊の作品、あれも本当のこと言うと1ヶ月くらいビニールをかぶせちゃって、全く見ない期間を設ける。で、1ヶ月後に開いたときにどう見えるかっていう。



  • 丸田:時間を置くのが大事なんですね。



  • 澤田:授業でやるのは、実際には難しいけどね。手を動かしてもいいんだけど、考えるだけ、想像だけをする時間を取ったほうが絶対いい。その間、ちょっと考え方も変わっていくんですよ。人間、進化していくから。やっぱりね、縄文時代の縄文式土器。



  • 丸田:えっ、土器ですか?



  • 澤田:あの時代って、時間があったからああいう面白い土器をつくったでしょ?それが弥生時代になると稲作になって、そうすると時間がなくなっちゃって。だから土器も味気ないシンプルなものになっていっちゃう。まさにそれが現代人に欠けてる部分かなとも思うんだ。…ということをいつも「古美術論」の授業で言うんです。



  • 丸田:将来、山に籠ったらいい作品がつくれるかもしれませんね(笑)。



  • 澤田:とにかく、自分のテーマをとことん追求して、悩んでください。つくるための悩みがある人は、まだまだ伸びますよ。



  • 丸田:ありがとうございます。頑張ります。




  • 「立体基礎C」で制作中の『独裁者』は、人間の頭部を羊の身体に埋め込むことで「夢を操る羊」を表現した。焼成後に着彩予定。









  •   

    1・2年次科目 Pick Up

    デッサン/平面基礎A /立体基礎A

    平面で「描く」ためのものの見方、描き方、彩色方法と、イメージしたものを実際に立体にしていく方法など、表現のために最も基礎となる技術と知識を学びます。(1年)



    テキスタイルワークA

    造形表現の手段として、テキスタイル(染色・織物)の基本的な技法を学び、生活の中でテキスタイルの役割を理解します。(2 年)