
日本語の素地を固める授業が多文化理解の鍵になる
小松:私、高校3年間はコロナの影響で、人と関わることを避けてた部分があったんです。でも元々は人と関わることが嫌いではなかったから、大学進学にあたっていろいろな業界を調べてみて、「将来は人と関わって楽しくお仕事がしたいな」と。
小笠原:それで、国際文化・観光学科を選んだんですね。
小松:英語が好きだったので、英語力を伸ばしたい、というのもありました。
小笠原:「コミュニケーションが取りたい」という自分の芽に、早くから気づいていたんですね。私と授業で頻繁に会うようになったのは2 年生になってからですけど、すごく楽しそうになったというのが印象。最前列で難しそうな顔をして聞いていたのが、後期になったら表情が柔らかくなって。
小松:回数を重ねるごとに知識も少しずつ増えるので、勉強のコツをつかめた部分があったんだと思います。
小笠原:この前受けたTOEIC®の結果は?
小松:前回より185点アップしました。
小笠原:すごい!
小松:次は700点をめざします。
小笠原:「人と関わる仕事がしたい」と思っているなら、英語は間違いなくそのためのツールになると思うんだけれど、将来、英語は絶対に使いたい?
小松:絶対にではないです。ただ、英語が自分の武器になったら、もう少し視野が広げられるのかなって思っています。
小笠原:なるほど。この学科は外国語科目にちからを入れていて、中国語も必修。でも、実は日本語の授業がしっかりあるんですよね。「日本語の授業」という言い方をすると語弊があるかもしれないんですけど。
小松:わかります。新聞や論文の読み方を学んだり、図書館を利用した調査方法や読書体験について考えたりしているので。
小笠原:「スタディスキルズ」の授業ね。
小松:はい。プレゼンテーションの方法や、口頭表現というのかな、話し方まで。社会に出るまでに身につけるべき日本語の授業という感じがしています。
小笠原:実は、語学力が長けていく素地というのは、おおよそここでつくられていくのかなと感じています。日本語できちんと読むこと、調べること、発表すること。そこから日本語のものの見方や、外国語では考え方が違うことなど、さまざまなことに視野が広がっていくのかなと。
小松:それは実感しています。改めて、日本語って難しいなとも。ときどき、留学生の方がきちんとした日本語を喋っているんじゃないかって思いますし。
小笠原:日本人学生も、意外と日本語と戦うことが多いのよね。
小松:これは何て言ったらいいんだろう?どうやって書いたらうまくまとめられるんだろう?ってことを、よく悩んでいます。
小笠原:それをしっかりやると、多文化比較なんかにも繋がってくるんですよ。物の見方とか、相手の捉え方を考えるようになるから。
小松:そういうことなんですね。

小笠原先生の課題は、必ずコメントをつけて提出することになっている。どう解いたか、どう考えたかを共有することがコミュニケーションにもなる。
セミナー系の科目で身につく思考力とコミュニケーション力
小笠原:いまは、どんな授業が中心なの?
小松:「プロジェクトセミナーⅠ」で、企業とのプロジェクトにグループで取り組んでいます。小田急電鉄株式会社との産学連携で、『箱根のまだ知られていない魅力を探す』日帰りツアーを考える取り組みで、実際に現地に行き取材をして、SNSで発信するんです。
小笠原:面白そうですね。
小松:企業さんとのやり取りなので、電話のかけ方からビジネスメールなど初めてのことばかりで。毎回、難しいなと思いながら先生にアドバイスをいただきつつ、取り組んでいます。
小笠原:社会人を半分経験しているような授業ですね。もうひとつのセミナー科目「国際文化・観光基礎研究セミナー」についてはどう?
小松:前期は観光学の基礎について学びましたが、単に研究書の内容を把握すればいいんじゃなくて、本の中身を要約して人に説明するまでを、グループに分かれてローテーションで繰り返すんです。個人的に、考える時間が一番多かった授業だと思っています。
小笠原:めちゃくちゃ思考力が鍛えられそうですね。小松さんを見ていると、科目同士の接続がうまくいっているんだなと感じます。
小松:どういうことですか?
小笠原:例えば、今回TOEIC®の点数がすごく伸びたけれども、それは英語の授業だけではなくて、別の授業でのグループワークなどを通して、コミュニケーション力や思考力を鍛え抜くような訓練をしっかりしているから、言語や異文化解釈のちからがちゃんとついてきてるんだと感じます。
小松:あー、そうなのかな。
小笠原:これからは、卒論の入口というか、ゼミのためのセミナー(3年次の国際文化・観光応用研究セミナー)が本格的に始まっていくんだけれど、研究してみたい分野はあるのかしら?
小松:うーん。「英米文化事情A 」という科目を取っているんですけれど、それが知らないことだらけで。英語はどこから来たのかとか……。
小笠原:英語の言語自体の歴史とか?それは、英語が相当好きでしょう(笑)。
小松:言語だけでなくて、地域ごとの文化の違いや民族、社会構造みたいなところに興味を持ち始めています。
小笠原:自分の可能性を「このくらいまで」と制約しないその姿勢、応援しています。

研究書を読み、要約してレジュメをつくり、発表する。自分だけでなくグループ全員に伝わる工夫が必要なため、自然とコミュニケーションをとる機会が増えていった。