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【報 告】「興隆するファッションテキスタイル産業のためのプロフェッショナル育成プロジェクト」

update 2015.05.14

文部科学省の事業委託である「成長分野等における中核的専門人材育成等の戦略的推進」事業の職域プロジェクトとして表題が採択され、本年度より始動することになりました。
事業内容はクリエイティブ(ファッション)分野の中のひとつとして、国際的に活躍できる中核的専門人材の養成が不可欠であるという考えのもと、テキスタイルに精通した人材育成のためのプロジェクトとして事業の推進を行い、同時に産学官と連携をし、最終的にテキスタイルに特化した人材教育・供給と産業の復興を図ることを目的としています。

今日のファッションテキスタイル産業は、きもの文化により培われてきたと言っても過言ではありません。しかしその現状は、伝統産地業者、新しいテキスタイル作りに挑戦している業者など、国際的に高い評価や技術力・開発力を有しているにもかかわらず、国際化を果たせずに分業化された事業による産地の崩壊や業界の縮小が懸念されています。しかし、衰退産業と揶揄されてきたファッションテキスタイル産業の「コスト競争力」という唯一の弱味が、円安、クールジャパン戦略による日本製の評価の高まりなどの追い風により、払拭されようとしています。この有利な環境を活かすには様々なイノベーションやクリエーションを実践できる人材が不可欠です。

 
1年目の活動として、2項目の調査・特別授業を行いました。
(1):伝統産地を中心とした産地調査を、9都府県15産地31か所の調査を実施
地域資源の継承・保存活用状況・地域内経済状況の把握、調査先には織物設計の情報も提供していただき、貴重な資料を得ることができました。

山形県・1産地/3工房、新潟県・3産地/4工房、石川県・2産地/2工房
群馬県・2産地/2工房、東京都・2産地/2工房、京都府・2産地/9工房
広島県・1産地/1工房、福岡県・1産地/3工房、鹿児島県・1産地/5工房
 
※山形県米沢市、鹿児島県奄美大島の調査内容を抜粋してご紹介します。

山形県米沢市(1産地3工房)
調査先
・(株)新田『伝統工芸品』、・近賢織物(有)『伝統工芸』・栗野商事(株)『産元問屋』
・(株)新田『伝統工芸品』
1884年創業、1963年紅花染めの復元に成功
【統業型一貫産業】手引き紬、真綿、紅花染、草木染、手織、力織機(大正時代)
【主たる製品】米澤平、紬袴、半巾帯、裂き織半巾、八寸帯など
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【左から】紅花抽出液/烏梅(媒染剤)/様々な草木染による着物/濃淡の紅花

鹿児島県奄美大島(1産地5工房)
調査先

・田畑絹織物(有)、・元野泥染工房、・本場奄美大島紬協同組合、・本場奄美大島紬技術学院、・(有)金井工芸
田畑絹織物(有)
1951年創業、1963年田畑絹織物(有)設立
【小巾織物製織】糸操、整経、手織製織
【主たる製品】奄美大島紬

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【左】締め機/【右】締め機柄確認

元野泥染工房
修業後20代に起業、現在まで個人創業
【染色加工】木片粉砕設備、大篭、大釜ほか染色設備
【主たる染色】大島紬用、テーチ木染色、泥染色

photo【左】泥染/【右】泥染済むしろ
 
(2):特別授業の実施
文化学園大学2コース、文化ファッション大学院大学1コースの学生に特別授業を実施しました。「文化・ファッションテキスタイル研究所」で開発したテキスタイルの現物資料に触れながら織物の組織や構造、可能性などについて講義を行いました。

コンソーシアム資料 特別授業の実施
・反応調査
・テストプログラム受講者 (服装学部服装造形学科クリエイティブデザインコースのみ)
特別授業の内容はこちら

●産地調査・特別授業を終え、次年度へ向けて
今年度行った特別授業の内容をさらに掘り下げて、文化学園大学を中心に展開して行きます。同時に社会人教育のための特別授業を繊維産地や、ファッション業界で実施できるようプログラムを計画しています。

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