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【企業×大学】スぺシャル対談 ラフォーレ原宿×ファッション社会学科

update 2019.09.12

Laforet HARAJUKU × BUNNA GAKUEN UNIVERSITY
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幅広く社会を見て、社会を経験して、
ファッションの新しい可能性を切り拓いてほしい。

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ファッションの意味が多様化している現在、その担い手に求められるものとは?
日本有数の最先端ファッションと文化の発信拠点、「ラフォーレ原宿」の荒川信雄社長と
ファッション社会学科の金川孝義教授に、その思いを聞きました。

 
 
arakawa 株式会社ラフォーレ原宿 代表取締役社長 荒川信雄 Arakawa Nobuo
1987年森ビル㈱入社。ラフォーレ原宿企画開発部を経て、1999年㈱ヴィーナスフォート館長、
2006年に表参道ヒルズ館長、2014年より㈱ラフォーレ原宿代表取締役社長。

kanagawa 文化学園大学 ファッション社会学科教授 金川孝義 Kanagawa Takayoshi
大阪経済大学卒。㈱レナウン入社。パリ駐在員事務所所長・英国アクアスキュータム社への出向。
㈱レナウン退社後、伊藤忠ファッションシステム㈱などを経て2008年より本学教員。

 
 
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変わり続けるファッションを通して社会全体を学ぶ
「ファッション社会学」とは。

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kanagawa 金川
15年ほど前からでしょうか。ファッションという言葉の定義が大きく変わってきた気がします。以前は、ファッションというとイコール洋服のことでしたが、いまは、食やインテリアなどライフスタイル全体がファッション化していると感じています。荒川さんはどう思われますか。

arakawa 荒川
同感ですね。ラフォーレ原宿は開業40周年を迎えましたが、特にこの10年ほどはファッションの領域が広がり、その価値観もどんどん多様化していると感じます。どんな服を着てどこで何を食べるか、どこでどう暮らすかという、ファッションとそのプラスαも含めて自己表現の手段になってきていると。実際、ラフォーレ原宿の床面積でいえば、以前は「食」の比率は5%程度でしたが、いまは10%くらいに増えています。もっとも、ラフォーレに入っているフード店は、どの店舗も立ってちょっとつまむ程度の店舗ばかりです。原宿といえばクレープ屋さんが定番ですが、その発展形というところでしょうか。

kanagawa 金川
なるほど。あれこそ食のファッション化の走りだったかもしれませんね。2000年に我々が「服装社会学科」を設置したのも、まさにこうした流れを受けてのことでした。ファッションを中核にして、商品、ビジネス、文化、社会など、それを取り巻く環境を詳しく学ぶというカリキュラムを敷いた。そして、ファッションという言葉の意味の多様化に合わせて、学科名を「ファッション社会学科」に変更したのが2016年のことでした。

arakawa 荒川
面白いですね。インターナショナルブランドが原宿カルチャーとコラボする時代ですし、ライフスタイル全般がファッションとリンクしていても、何も不思議ではありません。

kanagawa 金川
あらゆる事象、ものをファッションという視点から見つめ直し、新たな価値を提案できる人材を育てていこうと、我々教職員も互いを鼓舞しているところです。

arakawa 荒川
そうですか。いま、ラフォーレにポップアップ・ストアを出しているあるオーナーに、「子ども服をリメイクしてペットの洋服にしてみては?」とアイデアを出しています。こういった新たな取り組みについては、ラフォーレでの発信はもちろん、表参道ヒルズなど森ビルグループの他施設と連携しての展開も検討しています。近年、オーダーメイド市場はどんどん拡大していますが、そういう時代の流れも掴んでいる。こういうおもしろいアイデアの持ち主が、ぜひ大勢育ってきてほしいですね。


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ラフォーレ原宿
1978年、ファッショナブルな街へと変貌をしつつあった原宿に設置されたファッションビル。当初から新進気鋭のアパレルブランド、クリエイター、アーティスト、起業家を世に送り出したことで、原宿は一躍ファッショントレンドの発信地としての地位を確立した。現在も「ファッション・ラバーズ・ファースト」をコンセプトに据え、ファッションを愛するクリエイターが入店し、世界からファッション愛好家が訪れている。

https://www.laforet.ne.jp/



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ファッションも人も、これから
大きく伸びる可能性を持っている。

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kanagawa 金川
人を育てるのは我々の本分ですが、荒川さんご自身も大勢のクリエイターを世に送り出してこられてますよね。

arakawa 荒川
ラフォーレ原宿は、設立の当初から新しいクリエイターと一緒に育っていこうということをテーマにしてきました。私が入社したのはオープンから10年ほど経ってからでしたが、それこそBUNKAの卒業生も大勢頑張ってくれていましたよ。

kanagawa 金川
ラフォーレ原宿ができた1978年といえば、デパートに並んでいる洋服は海外のブランドばかりで、それに負けまいと、マンションメーカーと呼ばれる小さなアパレルデザイナーが多数開業していた頃でした。国産ブランドの黎明期ですね。服をつくっても売るところがないと彼らが苦しんでいたところに、ラフォーレ原宿ができて、どんどん出店してください、チャレンジしてくださいと呼びかけた。のちのDCブランドのデザイナーもそこから大勢巣立っていきましたね。

arakawa 荒川
特別なことをしたつもりはありません。彼らに「ここに売り場をもちたいよね」と思ってもらえるようなビルにしたいという理想だけがあって、前衛的な広告やユニークなイベントで話題をつくってきました。元気や才能はあっても経験のない若者がほとんどですから、失敗も当然ありました。でも、どんどん失敗してくださいと伝えていました。それも勲章だというくらいの雰囲気がラフォーレにはありましたからね。

kanagawa 金川
まさにそうやって人を育ててこられた。

arakawa 荒川
背中を押すのが好きなのでしょうね(笑)。

kanagawa 金川
最近ではBUNKAの特別講義にもご協力いただいています。学生もずいぶん背中を押されていると思いますよ。

arakawa 荒川
そうおっしゃっていただけると。現場でもそれは変わりません。元気がないなと思うスタッフでも、機会と役割を与えて、背中のボタンをちょっと押してあげるだけで、見違えるように顔を輝かせて仕事に取り組み始め、成果を出してくれる。それが楽しいんです。

kanagawa 荒川
こちらから背中を押して経験を促すこともときには必要ですよね。いまの学生はなかなか海外に出かけようとしないので、私は特別講義で海外の商業施設や商業エリアを見て回ることを計画しています。こういう経験は、時代の空気を感じ取るには格好の機会ですから。もちろん原宿でもいいでしょう。フィールドワークの繰り返しが変化を敏感に感じ取るセンスを育てることにもなります。
 
 
 
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学びは教室だけじゃない。
学生時代は経験のすべての成長につながる。

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arakawa 荒川
学生時代といえば、私はアルバイトで本当に多くのことを学びましたよ。コンビニエンスストアでは、並べ方ひとつで売り上げが大きく変わることに、引越し屋さんでは部屋を一目見ただけで、ダンボール箱が何個必要かを見抜く先輩の力に驚かされました。そうした経験のすべてがとても面白くて。

kanagawa 金川
我々がインターンシップで重視しているのもまさにそこです。ラフォーレさんでもインターンシップを受け入れていただいていますが、ビジネスの現場を経験して戻ってくると、見違えるように成長しています。

arakawa 荒川
そうですか。私が尊敬する方が「文武一道」という言葉を使ってらっしゃいました。両道ではなく一道。働くことも学びですし、学ぶことがいつか仕事になる。まさにその通りだと思います。
 
 
 
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ファッションの世界は、
新しい可能性を切り拓いていける人を待っている。

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arakawa 荒川
つねづね私が大事だなと思っているのは、プレゼンテーション能力です。こういうものをつくってみたい、こういうことをしてみたいと思っている人は多い。でも、思っているだけでは、ことは前には進みません。思いをほかの人にも見えるものにして、事業の計画として示せる力は、ぜひ学生の間にいろいろ経験して身につけてほしいですね。

kanagawa 金川
人を納得させる力ですね。

arakawa 荒川
もし先生のお許しがあれば、学生には企画書をもって私のところにプレゼンに来てほしいくらいです。面白ければラフォーレでやってみてもらってもいい。

kanagawa 金川
願ってもないことです。ぜひ検討させてください!
それでは最後に、我々を含め、ファッション社会学科を学ぶ学生に向けてメッセージをお願いします。

arakawa 荒川
さまざまなことにチャレンジして、その面白さをもっと追求したいと目覚めた人材を、ぜひ社会へ送り出してください。ファッションの世界は、新しいビジネスの可能性を切り拓く力を待っていますよ。

kanagawa 金川
時代の変化を見据えてファッションを取り巻くビジネスや社会の在り方を提案できる人材を育成すること、これがファッション社会学科の使命として、我々も頑張っていきます。今日はありがとうございました。


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ファッションを「考える」人へ。
ファッション社会学科