卒業生を紹介

保護中: 職種:プロダクトデザイナー
2020年3月 卒業 ►デザイン・造形学科「子どもを喜ばせるデザイン」を軸にして考えてきた
このデスクとキャビネットは、僕がデザインを手掛けた初の家具です。学習机などを企画・販売するコイズミファニテックに入社して1年目で任せていただいた思い入れの深い商品。デスクはスマホアプリの操作でスムーズに天板高を上下できる電動昇降式です。シックな見た目にして、子どものリビング学習はもちろん、家族全員が使えるデスクに仕上げました。
入社当時の仕事はプロダクトデザインのみでしたが、いまは商品掲載のパンフレットなどのグラフィックも担当しています。学生時代はグラフィックとプロダクトの両方を学ぶコースでした。どちらも学べるのは他大学と異なる特徴だと思ってはいましたが、実社会の仕事で、大学で学んだことが予想以上に役立つことになりました。BUNKAは、1・2年次はジャンルを問わずデザイン全般を学べるカリキュラムでしたから、18、19 歳で道を絞れなかった僕も学ぶうちに進みたい未来を発見できました。「子どもを喜ばせるデザイン」というのが僕の中にあり、それを軸にして考えてきた結果がいまにあります。
学生時代につくるものは「作品」、社会人は「商品」をつくる
BUNKAの良さのひとつは、社会と関わる実践的な授業がたくさんあること。産学連携と言われる、企業と学校とが協働して行うプロジェクトに参加できます。学内だけでは知ることがなかったことに触れ、社会人に必要なコミュニケーション能力を磨ける良いチャンスですから、学生の皆さんは積極的に取り組むことをおすすめします。もうひとつの良さは、先生方との距離が近いところ。僕は卒業後に別の美大の大学院へ進んだのですが、BUNKAの先生とは現在も連絡を取り合っています。
実際に社会に出て仕事をしたら、これまで考えなかったデザインの難しさに気づきました。学生時代につくるものは「作品」、社会人は「商品」ということです。商品は価格設定、コスト計算、パーツ注文、他企業との商談などが複雑に絡んできます。こうした役割を専門の部で分担する企業も多いでしょうが、僕の場合は全部を自分で行う必要がありました。企画だけで3ヶ月を費やしたほど苦労しましたが、プロダクト制作から販売までの流れを掌握でき、学び多き結果になりました。知識も増えましたし、とても良い経験をさせてもらったと感謝しています。
最近は仕事の幅が増え、展示会などイベントでの接客業務にまで広がってきました。社外に出てお客さまと直接対話することは、次のアイデアが生まれる絶好のチャンスです。さまざまな意見を聞いて、新しい商品の企画をしていきたいと思います。
My Work Style
「学習デスクの新しいスタンダード」をめざして
僕が担当したシリーズ「Famio」は、子どもと家族のための学習家具を
想定しています。リビング学習の課題のひとつである“インテリアを阻害してしまう” という点をクリアするためシンプルなデザインかつ家族で共有しやすい機能として電動昇降を採用しました。キャビネットは僕が一からデザインしていて、多くの工夫を込めています。
(取材:2025年3月)