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保護中: 職種:衣装プランナー
2022年3月 卒業 ►国際ファッション文化学科意図を自分なりに汲み取る対応力が問われる 衣装プランナー
主に舞台衣装のプランニングや制作を中心に活動しています。制作会社に所属しないフリーランスです。依頼される仕事には、漫画やアニメを舞台化した作品もありますが、原作がない舞台では、登場人物個々の衣装をゼロから企画します。デザインから制作進行の管理、スタイリングが主な業務です。縫製はチームを結成して、皆の協力のもとで衣装を完成させています。
衣装プランのプロセスは、まず舞台の制作会社や演出家などからの発注から始まります。テーマを抽象的な言葉で伝えられるケースが多く、意図を自分なりに汲み取る対応力が問われます。着る役者、キャラクター設定に合わせた企画に加え、動きやすさや洗濯などの実用性への配慮も必須です。さらに公演会場、舞台、照明、観客席からの見え方まで計算します。制作予算も限られますので、その範囲内で最良の仕事をする工夫も必要です。一般的なアパレルの服づくりとは大きく異なる仕事内容です。
BUNKAで教わった「舞台は偉大な総合芸術」
僕は子どもの頃から映画が好きで、その中でも登場人物に深い興味を抱いていました。また、小学生から刺繍や編み物をしていたほどファッションも好き。得意なファッションを生かす道を模索し、ファッション系の高校に進み、BUNKAではプロデューサー・ジャーナリストコースを選択しました。服づくりの知識・技術に加えて、ディレクション能力が身につけば将来に役立つと考えたからです。
憧れだった映画ではなく舞台を活躍の場に定めた大きなきっかけは、BUNKAの4年生のときに卒業イベントで演出長を担当したこと。現役の舞台演出家でもある講師の先生に、舞台が偉大な総合芸術であることを教わりました。また、SNSで自分の作品を発信したことがきっかけで、1年生のときからアルバイトで衣装制作をしていました。卒業の少し前から仕事として声をかけられることが増え、就職せず一人で活動することを決意しました。
学生時代に好きなこと 得意なことをより明確にできた
2024年には「舞台 サイボーグ009」「舞台 WIND BREAKER」など、有名な原作の舞台化作品もやらせていただきました。20代のうちからフリーで仕事ができる衣装プランナーは少ないと言われますが、学生時代にさまざまな授業や実習を通して好きなこと、得意なことをより明確にできたことや、仕事に必要なコミュニケーション能力を磨けたことも功を奏しているのかもしれません。社会に出てからも、泥沼精神というか徹底した追求心で常に“気づき”に敏感になることが、どの職業にも有益なのではないでしょうか。
My Work Style
これまでの“ものづくり”が生きた衣装
2025年2月に上演された舞台『モンスターボックス』の衣装は制作も手掛けました。主要キャラクターの斬鬼丸の羽織は、スラッシュキルトという手法で生地を加工しています。実はこの加工、BUNKAで知ったんです。といっても授業で教わった訳ではなく、学内に展示されていた作品がきっかけで知った技法。斬鬼丸のイメージにぴったりだな、と思ってやってみました。また、帯は小学生のときによくつくっていたミサンガの編み方を応用しています。手を動かしていると、ふとしたときに過去の蓄積が生かされる瞬間がありますね(笑)。
(取材:2025年3月)