ブランドやデザイナーの想いを言葉にして伝える。


国内外のファッションニュースを発信する「WWDJAPAN」の編集部を経て、現在はフリーのファッションリポーターとして活動しています。ファッションに関わるいろいろなことに幅広く携わっていますが、軸にしているのはエディター・ライターの仕事です。ファッションイベントや最新のコレクション、デザイナーの来日などを取材し、それをファッション誌やファッションニュースサイトの記事にしています。ブランドが発信したいことを、世の中にわかりやすく伝えることが私の役目だと考え、名刺の肩書きには「ファッションリポーター」を選びました。

この仕事をする上で大切にしているのは、できるだけ現場に行くこと。ファッションブランドには日々たくさんの展示会がありますが、可能な限り足を運び、自分の目で見て、直接話を聞き、感じたことを文章にしていく。それが私のポリシーです。国内外を問わず、気鋭の若手デザイナーを取材することも多く、「記事のおかげでたくさんの方にブランドを知っていただくことができました」と喜んでもらえると、ブランドの成長を感じられて私も嬉しくなります。

この道を選ぶきっかけとなったのは、BUNKAの2年次に留学したニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)での経験でした。もともと舞台衣装のデザインに興味を持っていたのですが、留学中、現地で募集していたインターンシップでニューヨークファッションウィークに携わり、ファッションを見ること・伝えることの重要性を知り、服をつくる側ではない方向へと、視野が広がりました。そして、自分の適性と本当にやりたいことについて考えるようになり、帰国後はプロデューサー・ジャーナリストコースへ。この仕事に必要なジャーナリズムの知識や文章、写真のスキルを学びました。卒業後は「WWDJAPAN」で編集や記者としての経験を積み、昨年フリーランスとして独立。現在に至ります。

ファッションの持つ力や可能性は本当に大きくて、世界のデザイナーを取材すると、政治や戦争、社会問題、環境問題などを考えながらクリエイションしていることを教えられます。そういったデザイナーたちからの社会へのメッセージを、きちんとキャッチして言葉にしていくことも、重要な仕事です。

最近では、ブランドのPRやコンサルティングのほか、母校であるBUNKAでの非常勤講師など、エディター・ライターとしての仕事以外にもファッションへの関わり方が増えてきました。けれど、ファッションリポーターという肩書きに込めた気持ちを忘れずに、これからもたくさんのブランドの想いを伝えていきたいと思います。

  • できる限り現地へ赴き、生きた声を読者に届けることが重要。


    国内外のコレクションの取材は、この仕事を始めてからずっと続けているライフワークのひとつ。ロンドンやミラノ、パリなど海外のコレクション会場へ赴き、デザイナーやブランド側へ直接インタビューすることもあります。 ミラノ・ファッション・ウィーク(2023年春夏コレクション)では、「MAX&Co.」とコラボレーションしたデザイナーのDuro Olowu氏へインタビューをしました。