Imagination×Creativity
想像力と創造力を生きる力に。

ー「新しい美と文化の創造」に挑む、特色ある学びー

大学教育にも、専門性だけでなく様々な変化に対応できる多様性や応用力が求められている今、
文化学園大学では〈想像力〉と〈創造力〉、この2つの力を伸ばすための感性教育に取り組んでいます。
それは、単にものづくりの世界だけに発揮されるものではありません。
変革するための考え方(想像力)クリエイティブなものの見方(創造力)を、自分だけの「生きる力」にすること。
新しい文化の創造は、想像の自由がもたらす―。
2つの力で感性教育に取り組む、文化学園大学ならではの学びの仕組みを、ぜひご覧ください。

建学の精神に掲げる「新しい美と文化の創造」に、 Imagination〈想像力〉とCreativity〈創造力〉で挑む3つの学部から、それぞれの力について聞きました。

「想像」して「創造」することは、
人間だからこそできること

造形学部長  渡邉 秀俊
建築・インテリア学科 教授


 「未来を見通せない混迷の時期」。歴史を振り返ってみると、人類はこうした時代の大きな転換期を幾度も経験してきました。そのたびに人間は思考を重ね、そのときどきの最適解を導いてきたわけです。
 多くの仕事がAI(人工知能)にとって代わられつつある現代、私たちが見直すべきは「人間だからこそできること」です。過去の膨大なデータの積み重ねから一定のパターンを抽出して最適解を導き出すAIをひらりと超えることができるのは、人間の想像力と創造力。これに尽きるのではないでしょうか。
 従来の常識や型にはまらずにあれこれ想像することは、なんと自由で楽しいことか。さらには 想像したことを創造力で実体化する。この二つの力を使ってジャンプアップした最適解を導くことは、AIにはできません。人間の想像力と創造力によって造り出された生活環境は、もしかしたら社会に新しい価値観をもたらすかもしれませんし、人の心をぐっと豊かにしてくれるのではないでしょうか。

想像と創造を繰り返すことが、
新たな社会を切り拓くカギ

国際文化学部長 石田 名都子
国際文化・観光学科 教授


 世界にはさまざまな国や人びとの営みがあり、それぞれが培ってきたカルチャーや歴史があります。それらを理解し、コミュニケートしていくにはどうしたらいいのでしょうか?
  それには想像力をふくらませることが重要です。人間ができる経験には限りがありますが、この限りある経験を補えるのが想像力です。想像力を使って相手の立場に立って考えることができれば、コミュニケーションは少し容易になると思います。そしてその想像力をもって対象と真摯に向き合ったときこそ、さまざまな創造のヒントを得て、何かを創り出すことに繋がっていくのではないでしょうか。
 それは有形なものから無形なもの、例えばホスピタリティなど目に見えないものにまで及ぶでしょう。異文化と繋がるためには自分とは異なるものへの理解が重要ですが、それは知識やスキルだけでかなえられるものではなく、想像力が大切な役割を果たすのです。想像と創造の繰り返し。これこそが、新たなグローバル社会を切り拓くカギになると考えます。

自己表現のために、
2つの力で感性を追求する

服装学部長  永富 彰子
ファッションクリエイション学科 教授


 「名は体を表す」ということわざがあります。名前はその人物や性質、実態をよく表すものだという意味ですが、必ずしもそうであるかは別として、ことわざのリズムを借りてみると「服装は人の考え(こころ)を表す」と言っても良いのではないかと思います。
 成長とともに変わりゆくこころは、自身の装いにも変化をもたらします。特に「服装」に興味をもった人は、装いを通して自己表現のオリジナリティにこだわり、そして感性の追求に力を入れるのでしょう。言い過ぎかもしれませんが、服装には個々人の哲学にも似た思考が見え隠れしています。服装という媒体を通して感性を磨くその原動力は、自分らしさの追求、その一言に尽きるのではないでしょうか。
 「感性の追求」、これは服装学部の学びの本質のひとつです。想像と創造を融合しながら磨き上げる感性は、いつの日か必ず、自分らしいストーリーを伴ったクリエイションとして、自由に自己表現できる力となるはずです。

既存の常識やあるべき姿にとらわれず、自分自身にフィットする生き方や表現をどこまでも追求する。
これもまた〈想像力〉と〈創造力〉があってこそ叶えられるもの。
これらの力を掛け合わせながらそれぞれの道を追及する卒業生に、BUNKAで過ごした時間で得たもの、そして現在の仕事について聞きました。


新しいファッション文化を、
自分たちがつくる。

服装学部 ファッションクリエイション学科 2018年度 卒業生

「AMALA」デザイナー 湯目嵐士

 在学中は、イギリスでファッションの仕事に就くことを目指していて、卒業後は1年ほど海外で語学を学んでいました。しかしコロナ禍で方向転換をすることに。日本で服づくりをしようと決意し、帰国して幼なじみの友人と共にファッションブランド「AMALA 」を立ち上げたのが2020年4月のことです。服づくりのインスピレーションの源は、学生時代も今も、ピカソのキュビズム絵画。既存のものを分解して再構築するというキュビズムのプロセスは、言い換えれば何にもとらわれずにイマジネーションを広げ、唯一無二のクリエイションに繋げていくことのようにも感じています。BUNKAでは、まさにそうやって服づくりをしてきましたし、このスタンスは今も変わっていません。
 ここ数年で社会が変わり、ファッション業界も転換期を迎えていますが、私はあまり気にしていないですね。それよりも、同世代の仲間とファッションを盛り上げて、新しいムーブメントを生み出したいという気持ちの方が強いです。私がめざす服は、人々のいちばん身近にあるアート。服は着てもらったり、触れてもらったりして、はじめて誰かの心に残るものだと思っているので、これからもリアルクローズにこだわってつくり続けていきます。

 

[写真左]4年生の時、「ZARA」とBUNKAによるコラボで、カプセルコレクション「ZARA.VIEWS」のデザインチームに参加。この時の留学生とのクリエイション体験が、海外に目を向けるきっかけとなった。[写真右]AMALAのブランドコンセプトは、「価値観の創造。視点を変え、新たな未来へ」。シンプルなシルエットやディテールをベースにしながら、絵画手法であるキュビズムの思考を落とし込んだジェンダーレスクローズを展開している。
Instagram:@amalaofficial

言葉なくとも
世界観が物語る空間づくりを。

造形学部 建築・インテリア学科 2014年度 卒業生

空間デザイナー 岡井美奈

 空間デザインに正答はありません。BUNKAで「五感」をフルに使って表現していくすべを身につけたことで、言葉にならないものをかたちにするという空間づくりにたどり着きました。お客様のオーダーを空間的に解決するために想像をめぐらせて、それらを実存するものとして社会のなかに創造していく。空間デザインとは、創り手からクライアントと空間利用者へ向けた、言語をこえたメッセージ。そんなふうに考えて仕事をしています。
 卒業後はデザイン事務所で商業施設などのデザイン経験を積み、2020年に独立しました。その後も変わらずに空間デザインをベースにしながらも、新しいチャレンジとして、CGによる仮想空間と現実世界を繋ぐビジュアル表現にも取り組んでいます。そのひとつが、CGで作り込んだ空間に人物の写真を融合させる「バーチャルウエディングフォト」。自粛生活で人々の移動や活動が制限されてしまったことから生まれたアイデアでした。時間軸がないだけで、仮想空間は現実世界と同じです。自分がつくり上げた空間や世界観によって、人々の心をわくわくさせたい。このことをいちばんに思いながら、空間デザインに向き合っています。

 

[写真左]4年次の卒業研究は、農業・地域環境を背景に、未来に残す空間メッセージとして取り組んだ。『KODOU』は、建築・インテリアの卒業設計において多数の賞を受賞。指導教員の横山教授とは、今も一緒に「五感のデザイン研究所」でデザインチームとして活動している。[写真右]「バーチャルウエディングフォト」は、クライアントの想いをカタチにするプロジェクト。ベトナムと日本、(コロナ禍の影響で)離れて暮らす家族に向けて、バーチャル空間が家族を繋ぐ役目をしてほしいという想いでデザインから提案。
MILALUEZE Design Office:https://minmilalueze.wixsite.com/start

BUNKAで見つけた「好き」を
心の内の宝箱に詰め込んで。

現代文化学部(現 国際文化学部)国際ファッション文化学科 2012年度 卒業生

アートディレクター/コスチュームデザイナー 大門真優子

 卒業後はBFGU(文化ファッション大学院大学)に進学し、在学中にコスチュームデザイナーとしての活動をスタートさせました。衣装だけでなく、アートディレクターとしてビジュアルデザインなども手がけています。学生時代から、私にしかつくることができない世界観を表現していきたいと考えていました。その手がかりをつかんだのが、FIT留学中に仕立てたオートクチュールのドレス。写真に収めようとしたとき、モデルに着てもらうだけでは物足りなくなってしまって。シチュエーション、モデルのポージングや表情など、細部までこだわりながらドレスと調和させることで、はじめて自分の作品として完成したと感じました。いまもこの思いは変わらず、どのような依頼でも「どうしたら私らしさを織り込んでいけるか?」を考えています。
 私のクリエイションを支えてくれているものは、BUNKAで制作に没頭した日々。デザインはもちろんのこと、縫い方、生地の質感や色合い、ラメのきらめきに至るまで、服を織りなす一つひとつに気持ちを寄せながら、「自分はこれが好き」と感じられるものだけを丁寧にすくい上げてきたように思います。それらは小さくてもきらきらと輝いていて、確実にいまの私の活動や作品を彩ってくれているのです。

 

[写真左]3年次に留学したFIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)では、日本でまだ勉強していなかった立体裁断がとても楽しかった。服づくりはまだまだ自由にできるということを教えてくれた、ドレーピングの先生と。[写真右]映画やミュージックビデオ、ライブをはじめ、幅広いジャンルの衣装デザインを手掛けている。自らが被写体となりながら独自の世界観を表現するなど、精力的に作家活動に取り組んでいる。
Instagram:@dearhoneyblond

想像力と創造力を育むBUNKAの学び
その仕組みと特長

 

専門性と人間力を養う
5つの科目群

現代社会の変化は急激かつ多様。
大学教育にも、専門性だけでなくさまざまな変化に対応できる多様性が求められているいま、 必要となるのは発展的な思考と恒久的な応用力を備えた“人間力”を養う教育です。
BUNKAでは、学びの仕組みを5つの科目群として整え、多様化する社会に対応する力を身につけ、 変革するための考え方(想像力)と、クリエイティブなものの見方(創造力)をもった人材を育成します。

 

ここでしかできない
4つの経験

さまざまなものに触れて育む感性。日常で出会う多様な価値観。
同じ空間と熱量の共有から得られる豊かな感情。
本気で向き合うからこそ得られる経験は、そのすべてが夢や目標へと向かう大きなエネルギーと変わります。
将来、どんな世界に進み、何を実現したいか。それぞれが思い描く未来への第一歩が、ここにあります。

 

一人ひとりの視野を広げるユニークな取り組み
特色のあるプログラム

BUNKAならではのユニークな取り組みで、物事を多角的に見る 「グローバル創造力」をもった人材を育成。ひとつの専門分野に特化するだけでなく、 創造的なものの見方や考え方を身につけるプログラムです。

コラボレーション科目

「学科・学年をこえた学生同士」「専門の異なる教員同士」「大 学と産業界・地域・国内外の大学」などのコラボレーションを 意図したユニークなプログラムを、9月と2月に開講。通常授 業では不可能な横断型教育となる科目を通して、専門分野の 探求のほか、多面的・俯瞰的視野の獲得を狙いとしています。

 
過去の開講科目例(オンラインでの開講含む):
タイの学生とファッションを学ぼう/ネイチャーハンティング in 信州/ブライダルとホスピタリティを学ぼう/FASHION RETAIL 英会話/3DCADを利用した衣服製作 など

梅春(うめはる)科目

2月から3月にかけての約1か月を「梅春学期」として設置し、その間に行う長期学外学修プログラム。1・2年次を対象に開講している科目で、長期間にわたる海外での異文化交流、国内での企業研修などの体験を通して、コミュニケーション力と伝統・文化理解力を身につけることを目的としています。海外・国内のものづくりの現場を学べたり、自身のキャリデザインの視野を広げることができます。

 
過去の開講科目例(感染症等の影響による休講科目も含む):
最新鋭の婦人服製造現場-スマートファクトリーで学ぶ(山形)/メンズファッション-工場からの服づくり(東京)/染めによる着物デザインー着物の総合加工技術を学ぶ(新潟)/シドニー・メルボルン研修-現地ファッションワークショップ(オーストラリア)/ニューヨーク研修-語学・企業研修、NYコレクション見学(アメリカ) など

ファッションショー/卒業イベント/卒業研究展

専門領域の体系的理論の理解と実践的表現力を修得した証として、その成果を目に見えるかたちにすることが本学の教育の特長。ファッションショーや卒業イベントはカリキュラムに組み込まれており、チームでの取り組みや個人の制作により、その過程が一人ひとりの成長を確実に促し、今後の社会生活における礎となります。


   

 


私たちがBUNKAで感じたこと