卒業生は、どんな仕事をしているの? ―Vol.01

update 2020.06.25

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心を癒す、気持ちを繋ぐ。
キャラクターは、いつでも人びとのそばに。


サンエックス株式会社  アプルーバル担当
家政学部 生活造形学科(現:造形学部 デザイン・造形学科)2000年度卒業生

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あるキャラクターとの出会いから
サンエックスに
入社したいと思うように

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 勤務先のサンエックス(株)は、「リラックマ」や「すみっコぐらし」をはじめとするオリジナルキャラクターのデザインのほか、これらのキャラクターを用いた文具や雑貨といった商品の製造販売をしている会社です。私は入社後、デザイン室でキャラクターや商品のデザインに携わったのち、2年ほど前からは、衣類や玩具、服飾雑貨など、さまざまな業界の企業に自社のオリジナルキャラクターを使っていただくことでつくられたライセンス商品やキャンペーンのデザイン監修を担当しています。

 キャラクターデザインの仕事に興味を抱きはじめたのは、BUNKA在学中のこと。「たれぱんだ」というキャラクターがきっかけです。お店に並ぶ商品を見かけてからこのキャラクターに親しみをもっていましたが、そろそろ就職活動がはじまろうとする頃に、ふと「たれぱんだ」をつくっている会社を調べたところ、サンエックス(株)であることがわかりました。

 キャラクターは、ファンタジーな存在かもしれませんが、元気をもらえたり、心を癒してくれたり、ときには人と人との気持ちを繋いでくれることもあります。サンエックス(株)のことを知れば知るほどに、キャラクターデザインはクリエイティブな仕事であるだけでなく、広く人々の役に立てることだと気づきました。特にそれぞれのキャラクターは、どれも丁寧に性格付けがしてあり、その素朴でおだやかな雰囲気が人の心にやさしく響きます。そうしたところにも魅力を感じて、キャラクターデザインの仕事をしたいという思いと同じくらいにこの会社でで働きたいという思いが強まり、毎日、懸命に自分なりのキャラクターを考えては描いていました。
 
 

「かわいい」だけでなく
親しみももてるキャラクターを
デザインするには

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 サンエックス(株)のデザイン室では月1回ほどのペースで社内プレゼンがあり、ここでデザイナーたちがキャラクターのアイデアを発表します。そこから商品化されるまでには、実にたくさんのステップを経ることになります。時流に沿っているか、既存のキャラクターに類似していないかなどを検証するほか、社内はもちろん、一般の方々にも見てもらい、そのキャラクターの可能性をリサーチするなど、あらゆるチェックポイントをクリアしたものだけが市場に出ます。

 幸いにも自分のアイデアが採用されて、いくつかのキャラクターを世に出すことができました。私の場合、キャラクターをつくるときは、見た目よりも先に性格や性質を考えます。コンセプトにあたる部分であり、ここを何度も推敲します。すべてのキャラクターに共通していることですが、ただかわいいだけでなく、どこか切なかったり、おっちょこちょいだったりと、見る人がそのキャラクターに共感できるポイントをどれだけ自然に入り込ませることができるかをいちばんに考えているような気がします。

 コンセプトをしっかりと固めておくと、アイテムやテーマを広く展開しても、キャラクターのイメージが絶対にぶれません。文具などの絵柄として使っても、ぬいぐるみのような立体物になっても、アニメーションで動かしても、何になろうともそのキャラクターが「そこにいる」と、きちんと認識できるようになるのです。
 
 

キャラクターのイメージや
世界観を守り抜く
デザイン監修という仕事

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 いま、私が携わっているデザイン監修とは、いわばサンエックス(株)のキャラクターの世界観を守る仕事です。ライセンス商品のデザインはライセンス先の企業がつくるのですが、その際、統一のデザイン見解が必要になります。そこで、キャラクターの色味やサイズ感など、社内で設定したスタイルガイドと呼ばれるルールに沿ってデザインしてもらいます。ただ、ルール通りにつくっても、実際にアイテムとして出来上がってみると、どことなくそのキャラクターらしさが弱まってしまうことがあります。例えば、ぬいぐるみであれば、目の位置が少しでも違えば印象ががらりと変わってしまう。こうした違和感をなくしていくために、すべてのライセンス商品について、ライセンス先のデザイナーと打ち合わせを重ねベストなものをつくっていきます。

 私がデザイン監修を担当しているキャラクターは主に「リラックマ」と「すみっコぐらし」。ライセンス先は国内外合わせて数百社にもなり、雑貨に食品、生活用品や化粧品に至るまで、さまざまな分野の商品の監修をしています。ありがたいことにどちらのキャラクターも世界中で親しまれていますが、国によって「かわいい」と感じるポイントは異なります。キャラクターのイメージを守りながらも、現地の人々に喜んでもらえるものにしていく。これもデザイン監修の大切な役割です。
 
 

誰もが毎日のように
キャラクターと
ふれあう時代を迎えて

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 サンエックス(株)の商品に限らず、いわゆるキャラクターものは、主にファンの方だけに親しまれてきましたが、いまでは地域や企業のオリジナルキャラクターが誕生したり、SNSのコミュニケーションツールになったりと、誰にとっても身近な存在になりました。SNSなどで発表したキャラクターが人気を集めて企業とのコラボレーションに繋がっていくなど、キャラクター文化はますます盛り上がりを見せています。

 こうした流れもあって、実に多岐にわたる業界から商品化やプロモーションの提案が寄せられるようになりました。例えば、企業のブランディングであれば、キャラクターを使うことで親しみをもってもらえ、認知度を広げることができる。こうした生かし方は、まさに私たちがめざしている「キャラクターを通して社会とふれあい、人の心に安らぎを提供する」ことにも通じます。自分の家族のように大切にしてきたキャラクターが、どんなふうに可能性を広げていくのか。これからの歩みが楽しみです。


_MG_5092_CMYK_0414 ひとまとめ

写真(左)社内の一角にあるショールームには、自社のキャラクターたちが大集合。毎年のように新しいキャラクターが誕生しています。どのキャラクターも、温かく、親しみやすい。これがサンエックス(株)らしさだと感じています。/ 写真(右)カラーチャートやルーペ、定規など、普段から使っている仕事道具。ギンガムチェックのケースは、よく使う道具を機能的に収納できるようにと子どもの服をリメイクして手づくりしました。デザイン監修ではミリ単位でのチェックなど、細部まで気持ちを行き届かせることが欠かせません。

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造形学部 デザイン・造形学科

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デザイン・造形学科 卒業生の仕事

株式会社 徳力本店 | 宝飾品営業

株式会社 Hi-63 Design | アートディレクター・グラフィックデザイナー

株式会社 宝島社 | 編集

アッシュコンセプト株式会社 | デザインコンサルタント

株式会社 OTOSO | デザイナー