ファッション社会学科は、
ファッションを通して世の中の仕組みを学ぶ学科です。


社会現象を科学的にとらえることは、世の中の様々な仕組みを考えることに繋がります。服装学部ファッション社会学科では、“ファッションだけ” を学ぶのではなく、ファッションを「媒体」にして、世の中の動きを学びます。では、具体的にどんなことが学びの範疇なのでしょう。





一見同じようなアイテムでも値段が大きく違う、安くてかわいいプチプラブランドと、高いデザイン性と品質にこだわる高価格帯のブランド。 そもそも、私たちは商品の何を判断して購入しているのでしょうか。 企業が仕掛ける「買いたいと思わせる仕組み」について考えてみましょう!

高くても買う?安い方がいい?
「もの」が売れる仕組みとは。

生地の質に差をつける。一度にたくさん生産する。ショップの販売員を減らす。ネット販売に特化する・・・企業はできるだけ利益を出すために、コストを減らして価格を低く抑えます。消費者にとってもそれは喜ばしいこと。でも、高価格帯ブランドへの支持が根強いのも事実です。同じようなアイテムでも、消費者に選ばれるために、企業やメーカーが仕掛けている戦略がいろいろあるんです。

同じ金額・品質なら
「付加価値」のあるものが選ばれる?

衣服の価格設定には、素材や技術を含む生産コスト、物流や人件費を含む販売コストといった「原価」と「利益」が大きく関わっていますが、実際にものを売るためには、人間の行動科学や社会心理学、歴史や文化などを利用した仕掛けが必要です。つまり、流通や販売、企画には、モノの付加価値という「売るための仕組み」を考えることが重要 になります。
ロゴの有無に限らず、ほかにも「生産数限定」や「先着〇名にノベルティプレゼント」「ECサイト限定カラー」「売り上げの一部が〇〇に寄付」など、消費者の購買意欲を上げるために企画される数々の付加価値。世の中の多くの企業では、利益を上げるために「+アルファ」のこういった 社会心理学的な要素を考えられる人材 を求めています。


ファッション社会学科は、「ファッションが好き!」という気持ちを活かして世の中の現象を学ぶ ことができる学科です。ファッションを通して社会の “仕組み” に気づき、学べる。ファッション「だけ」に詳しくなるのではなく、社会を幅広い視点でとらえる力がつきます。

ファッションを「媒体」に社会科学を学び、
経営、ビジネス、マーケティングにも応用できる力をつけよう。

ファッション社会学科では、ファッションを取り巻く7つの学問領域を横断的に学び、自分の興味を深堀りしていくことで、社会に出てから 多業種で応用・展開していける知識とセンスを身につけます。


「ファッションを軸にして考察すると、すべてが繋がっていることに気づきます。」

 ファッション社会学科で学ぶ学生には、ファッションへの興味や関心と言う共通項がありますが、ファッションに対する視点も考え方も、学生それぞれで異なります。「自分はファッションをこんなふうに捉えているけれど、みんなはどうなのだろう?」といったように、日常的に「問い」と出会う機会に溢れていると言えるでしょう。それがそのまま、この学科での学びに繋がっていきます。

 例えば「歴史」と「ビジネス」、あるいは「商品」と「文化」の領域のように、一見すると関係がないように感じるものも、ファッションを軸にして考察してみると、すべてが繋がっていることに気づきます。このように、ファッションを広い視野から捉えて多角的に思考できることが、この学科で学ぶ醍醐味と言えるのではないでしょうか。

 ここ数年、いろいろなシーンで「多様性」というキーワードが取り上げられるようになりましたが、こうした価値観はずっと以前からこの学科には浸透していたように感じています。多様性こそが、ファッションの本質であり、面白さなのですから。本学科は「ファッションを考える」学科です。ファッションの「何を」考えるのか、それを見つけることが第一歩となりますが、さまざまな領域から興味のあるものを選びながら、じっくりと向き合っていくことで、自分にしか発見できない答えが見つかるでしょう。本学科ならではの自由で開かれた学びの環境を足掛かりに、伸び伸びと自分の興味を追究してください。


下山 かおり 准教授|ファッションにおけるモダニズムについて研究。日本とヨーロッパにおけるファッションの歴史を横断的に研究。「日本服装史」「現代ファッション論」等を担当。